花のように適応する

環境に応じる花

例えば、春の息吹を感じさせる花である、あの可愛いチューリップたち。
その季節が終わるや否や、翌年の為にその球根にしっかり栄養を貯め込み始めます。そして、掘り起こされ、秋に又植えられ、気温が下がる冬を過ぎてから春を待ち、自分の時が来ると芽を出します。まるでその球根の中に時計を持っているかのようです。

さて、このチューリップも広い庭土に植えられると、それなりに各々縦横に大きく咲きます。庭以上に、もっと広大なチューリップ畑で何万本も一斉に咲いているのをご覧になって感動した経験があるのではありませんか?実に見事で理想郷にいるような感覚に囚われますね。

でも、広い庭や畑ではなく、小さなプランターなどの中に密に植えられると、またそれなりに彼女達は縦に細長く一斉に並んで咲いてくれます。これまた、小さく可憐なコーラスでもあるかのように、とても素敵なのです。

では、こんな花から自分の人生のためになる・・・何を教訓にできますか?

私が気が付いたことは、草花は”環境”に適応して自分を上手に合わせる術を知っているかのようだ、と言う事です。自分を居場所に合わせて適応しているわけですね。

でも、この点でずば抜けている花は沢山あります。
例えば、人の手によらず、こぼれ種で、咲くのはカモマイルと呼ばれるハーブの一種です。黄色い花芯に白い花弁が可愛い小花のハーブですが、香りも甘く花芯はお茶にすれば体を温めてくれて、精神をも安定させ不眠を解消させるという強い味方です。

カモマイルのこぼれ種の場合を考えると分りやすいので、その辺から学んで見たいと思います。こぼれ種ですから、風に吹かれて落ちる場所の環境は様々です。種自体が望みもしないような大変狭い土壌だったり、固く痩せた土地だったり、逆に肥沃な土地だったりしますね。時には、他の植物の陰だったり、木の根元だったりのこともあります。

でも、このカモマイルは、非常に「適応する力」があるようで、自分に与えられたその場所を、物ともしていないかのように一生懸命咲きます。

肥沃な土壌に落ちた種は、勿論、太く大きく育ち、沢山花を付けて繁茂しますし病気との縁も薄くなります。

痩せた土壌に落ちた種はどうなるのでしょうか?
彼女達は、細々と・・・しかし精一杯伸びて、小さいながらもやはり同じ可愛い白い花を付けます。しかし、儚げなその姿は風に揺れると、優しいオルゴールのメロディーが流れて来そうな程、優雅でフェミニンで思わず微笑みがうかぶほどです。痩せた土地で育っても、決してカモマイルとして欠陥はなく、むしろ、そこに育つのでなければ出せない繊細な魅力を発揮しているのです。

植物の陰に落ちた種はどうでしょうか?
陰にひっそり隠れているので、ひ弱そうですが、ちょこんと黄色の花芯に白い花弁の顔を出して、陰を作っている植物の脇役を立派に果たすことがあるのです。その良いも知れぬ調和の美しさは、もし、そこにこのカモマイルがなかったらつまらない、とさえ思わせるのです。

このように、花たちは”環境”に「適応」する点で天才的です。アスファルト道の小さな割れ目にさえ、咲く時もあるほどですね。生きるために、決してあきらめずに、命懸けで適応しているのでしょう。草花のこの適応力・・・どんな環境でも、生きることをあきらめないで花を咲かせようとする姿勢には、思わず励まされて、応援したくなるほどですね。

さて、私たち人間はどうでしょうかしら?
今、置かれた自分の境遇や立場をどう思っておられますか?満足して適応しているでしょうか?決して、あきらめることを薦めているのではありません。花たちとは異なり、私たちには自由意志と行動するための地面から離れる足がありますからね。

但し、いつ「今」の境遇から飛び立つにしても、「今の今」を楽しく満足して感謝することは、幸福に生きるために欠かせない重要な秘訣ですね。すぐに、商業主義のマスメディアなどに踊らされ過ぎてしまい、世界中で数パーセントしか居ない大富豪のライフスタイルに憧れて豪邸に住んでジェット機を持ち、贅沢をしなければ人生を生きている意味がない、などとは、思わないことですね。それはつまり、草花ならば、肥えた土壌ともいえる場所に住まなければ・・・自分は惨めな人生の花だから生きる資格がない、と言っているのと同じですね。

勿論、全ての「上昇志向」が間違っている、などというつもりは在りません。ただ、「今」の自分に不満だらけで生きている”適応力”のない女性は、たとえ、願いに到達しても必ず不満を見つけるものなのです。決して、満ち足りることはありません。結局のところ、人が自分のうちで「幸」か「不幸」かを決めるのに、貧富や容貌などの外的環境は無関係です。貧しくっても幸福感を味わっている人もいれば、惨めに感じている人もいる。富豪でも不幸と感じている人もいれば、感謝のうちに喜悦している人もいるわけですから。美人でも、他と比較したり流行りに圧倒されて自らを醜いと感じる自尊心の欠けている人もいれば、見た目には大して美人とはいえないが美しいオーラを放っている人もいる。では、その違いは何処にあるのでしょう。

それには「適応して感謝する」という特質が人格にきちんと植え込まれているか?ということです。小さな事を初めとして全てに対する「感謝の気持ち」が欠如していれば、自分に満足して適応が難しく感じてしまい、常に「上昇志向」に駆られる人生を送ることになりますね。この「感謝」という特質は、人間に限っては、花のように生来の遺伝では伝達しません。自らに培わねばならないものだからです。特に、自分を持たないかのような自尊心のやや弱い人は気をつけましょうね。

富豪でいようといまいと、ある才能に恵まれていようといまいと、両親がどうあろうと、温かい家庭にいてもいなくても、そして、どんな容姿をもっていても、今の環境に適応できる力を自分に溢れさせるように日々自己鍛錬し”思考の癖”を「感謝」に変えましょうね。

”適応力”は全てを”甘受する力”の延長線上にあります。従容にいたらず、ちょっとしたことに腹を立てやすい人や不満を口にする人は”甘受”の意味が理解できていないことになりますから、そこから始めた方が良いでしょう。”甘受”とは、自分の都合の良いときだけ受け入れると言う意味では決してありませんので誤解しないように。どんな情況の時でも、生じてくる不都合を『これは、自分にとって必ず必要な経験なのだ。物事は好転するに違いないから、人のせいにするのは止めよう』と、他者や出来事に腹を立てたりせずに悠長に平安を保てる心情でいることですね。重要な会議中の突然の客も、出かける直前ぎりぎりの電話も、貴女は『必ず上手く行く』と信じて、甘んじて受け入れられますか?そうすると、短気な人は改善できるでしょうし、判断力がちょっと鈍い人でも平静な心情でいられるので最終的には賢い判断力が身に付いてきます。そうした点でも”甘受”は長期的な宇宙時間に則った素晴らしい特質なのです。

願わない環境も出来事も、全てを甘んじて受け入れ、その中で自分らしさを見い出し、喜んで生きて精一杯自分の立場や持ち味を活かすなら、貴女だけにしか輝かせることの出来ない魅力が表れるはずです。貴女が貴女であるために、とにかく自分の今の境遇に先ずは満足して、その土台の上に美しい人生の花を頑張って咲かせませんか? 美しく強い花のように!

あなたのすぐ傍らで可愛い花が、何かを告げています。
ざわめきの止まない心を、そっと鎮めて・・・心の耳を傾けてみませんか!
彼女達が人々へ伝えたいと願っている温かく優しい言葉を聴きましょう!
煌く予感が溢れる今日と言う毎日を、日々年々重ねるために、必要な実際的な知恵の力を注ぎ込んでくれるかもしれません。 by 徳川悠未

I'll give you flower's message.

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